- 2025.11.08
- 一杯のラーメンと、父の面影 オオワタブログ
先日、仕事帰りにふらっと立ち寄った小さなラーメン屋でのことです。
カウンターの端に、母親と小学生くらいの男の子が並んで座っていました。
どうやら親子二人で夕食のようでした。
湯気の立つラーメンを前に、母親がふとつぶやきました。
「お父さんが好きだった味だね」
男の子は、少し笑って答えました。
「うん。お父さん、いつもチャーシュー分けてくれたんだよ」
その声を聞いた瞬間、私は箸を止めてしまいました。
次の瞬間、男の子の目から小さな涙がぽろりとこぼれたのです。
母親は何も言わず、静かにその頭を撫でていました。
「お父さん、きっと今も一緒に食べてるよ。」
食べ終わると、二人は店を出て、
手をつないだまま、近くの墓地の方へ歩いて行きました。
その背中を見送るとき、
ラーメンの湯気よりも、二人の姿のほうがずっと温かく見えました。
もしかしたら今日は、お父さんの命日だったのかもしれません。
お墓参りのあと、二人でお父さんの好きだったラーメンを食べに来たのでしょう。
“供養”という言葉には、少し難しい響きがあるけれど、
本当はこういう何気ない時間の中にこそあるのだと思います。
お墓参りも、線香の香りも、
そして一杯のラーメンも――
どれもが「あなたを思い出しています」という、やさしい供養の形。
お墓を建てることや先祖供養を続けることは、
決して悲しいことではなく、
**「心の温度を取り戻すこと」**なのかもしれません。
あの日見かけた親子の姿を思い出すたびに、
私は自分の両親や祖父母に、
「ありがとう」と言いたくなるのです。
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